神龍と風の舞姫
「さて、小百合にどう説明しようか…」

忠誠者であり、最愛の妻でもある小百合は遅くに授かった海斗をかわいがっていた

生まれるまでにもさまざまなことがあったせいで、海斗の行く末を常に憂いていたし

あの事件の時もつらそうな顔をしていた

海斗にあまり話しかけることはないけれど、ずっと遠くから見守っているのを痛いほどよくわかっているだけに

海斗の失踪をどう切り出せばいいのか

いつかこうなると心の中では思っていたことだ

きっと小百合も

それ以外の者たちも、あの事件をするものならば

きっといつか海斗がこの国を出ていくと

そしてそれが最後で、きっと彼を捕まえることはできないと

「願わくは、あいつに忠誠者が現れることを」

ため息をついて、信次は蜘蛛の巣ひとつない天井を見上げた


世界の”本性”を宿すものの中で最強と言われる海斗

忠誠者なしには決してその姿を保つことはできない

その先にあるのは破滅だからだ

けれど世界は、強さと地位と名声を求めてより強い”本性”を持つものを探す

例え、彼らが戦いを望まなくとも

その結果どんな犠牲が出ようとも


願わくは、世界に平和と平穏をー




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