神龍と風の舞姫
だからってなんで俺が…

もう口に出すのも面倒くさくなってはあ、と息をつく

「ね?お願い。ちゃんと報酬は出すからさ。後払いだけど」

「悪いが、金には困ってない」

第一用心棒なんて雇おうと思えば生業にしてる輩だっているんだ、なんで俺がわざわざそんなこと

「あの人たちの中にはいい人いなかったもの。これでも女の子だもん。夜な夜な襲われたくないでしょ?」

だからどうしてそこで俺はその基準に引っかからない

その疑問に答えるように、しるふが笑顔を見せる

「私ね、これでも結構人を見る目有るの。その私の直感、お兄さんは悪い人じゃない」

自信満々に言い切るしるふに、へえ、と少し感嘆にも似た感情を抱く

「……昨日、俺が魔族だと言い当てたな」

「?うん」

「お前には俺がどんな力を持つのかわかったはずだ」

「…うん。炎、でしょ。炎をまとった龍が見えたもの」

しかも相当力が強い

得意そうに微笑むしるふに、やっぱり変な女だ、と思う

「それでも俺に用心棒を頼むのか」

「?、だって用心棒だもの、強くなくちゃ意味ないじゃない」

その用心棒が牙をむくということは考えていないのだろうか
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