神龍と風の舞姫
「!!」

はっとして目を覚ますと自分が広く汗をかいていることに気が付いた

はあ、はあと荒い息を落ち着けてふと横を見ると

白眉を枕代わりにしている海斗が眠っている

その肩が小さく上下していることがなんとなくわかる

野宿している洞窟の外からは月明かりが差し込み、虫の声がかすかに聞こえる

月明かりに浮かぶ純白の毛色と海斗の姿に思わず大きく息をつく

「……夢…」

の割には、この言い表せないわだかまりはなんだろう

海斗の存在が感じられない世界と突然後ろから伸びてきた手

「どうした」

洞窟のごつごつした天井を見上げながら落ち着くのを待っていると

背後からささやくような低い声が響いた

「九尾」

しるふが頭を預けている九尾が、異変を感じとって声をかけてきたようだ

そっとその純白の毛に手を伸ばす

「ちょっとね、変な夢、見たみたい」

「しるふほどの力になれば、予知夢をみようと不思議ではない。心配なら明日、海斗に相談してみるといい。あれは、お前よりもそこら辺の知識と経験に長けているだろうからな」

だから今日はもうお休み

安心させるように、あやすようにそう言って白眉はひょんと尻尾を動かす
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