一期一会 ~未来からの贈り物~
「昂くん、今帰り?」
そう彼に聞くと、彼はなんとなく顔を背けた。
私達と別れたから、かれこれ時間は過ぎてる。
その間の彼女と昂くんに何があったかなんて、簡単に想像がつく。
けど、それは一番考えたくない事。
けど、昂くんの着崩した制服の襟元から、チラチラと赤い小さな跡が見え隠れする。
「……モ、ミナモ、聞いてるか?」
「う、うん、えーと、なんだっけ?」
昂くんはそんな私に呆れながらも、もう一度話し始める。
「上村だっけ、お前アイツと本当に付き合ってんのか?」
「…えっ」
なんで急にそんな事聞くの?
昂くんには関係ないのに…。
けど、真剣な表情で聞いてくる彼に、なんて答えていいか分からない。
実際は付き合ってない。
けど、いつも私は彼を隠れ蓑に使っている。
それだけはばれたくない。