一期一会 ~未来からの贈り物~
俯いた私に昂くんはゆっくりと手を伸ばした。
そして、胸の中に閉じ込める。
微かに香る女物の香水のかおりが私の胸の中の不安を煽るけど、でも、人肌の温もりは心地いい。
「…止めとけよ、あんな奴…」
昂くんの腕の中で聞いた呟きは、なんだかいつもの昂くんらしくなく、私の鼓動を一気に高鳴らせる。
「でも…」
「ミナモ、俺は心配なんだ…お前の事。
上村は確かに良い奴だけど…」
「けど?」
言い淀む昂くんから身を離すと、昂くんの顔が微かに歪んでいた。
どうして?
どうして昂くんはそんな事言うの?
「上村、あんまりいい噂聞かないから…」
少し期待して上目遣いで彼を見るも、やっぱり私が好きだからとかではない事はあきらかだ。
やっぱりお兄ちゃん的意見なのかな?