一期一会 ~未来からの贈り物~
そんな時ふと視界に入って来たのは、彼と彼女だった。
肩を並べ歩く後ろ姿は愛らしい。
肩先で揺れる彼女の髪。
その少し先には彼の顔があって、笑いながら帰るふたりの間に私が入る隙なんてない事がありありと分かる。
ぼんやり、そんなふたりを眺めていた。
「おいミナモ、お前まだ帰らないのか?」
窓の外を眺めていると、そんな声が耳に届いた。
ドアの入り口から男の子が顔をだした。
「あっ、琉司〈リュウジ〉か。帰るよ、もう」
けど、もう少しだけここに居たい。
今出て行ったら確実にふたりの後を着ける形になる。
きっと今日も彼女は彼の部屋に寄る。
そんなふたりをずっと見てるなんて耐えられない。
琉司は、私がそう答えると「じゃあ、もう暗いから送っていく」と私に近づいてきた。
「いい、遠慮する!」
彼の台詞を遮るように立ち上がり、私は鞄を手に教室を出る。
琉司も追い掛けてくる。