竜王様のお約束
「本当に・・・そなたは・・・。
もう少し柔軟な気持ちで、物事を考えられぬのか?
全てを四角四面に捉え、言われた事を正面から受け止めるだけでは、成り立たぬ時もあるのだぞ。」


ハクリュウは、額に手を当てて、呆れた口調でコクリュウを諭した。


「と、言いますと?」


はぁ・・・。
ハクリュウは、大きく息を吐き出した。


ハクリュウは、本気でコクリュウを、人間界へ謝罪しに行かせるつもりなど、なかったのだ。


そういう口実を作れば、コクリュウは自分達を人間界へ運んでくれるだろうと。
コクリュウに、嫌だと言わせない理由が欲しかっただけなのに。
この生真面目で真っ直ぐな、黒き龍ときたら。


ハクリュウは、呆れた感情が一段落すると、床の上に正座してきょとんとしているコクリュウに、何だか笑いが込み上げてきた。


< 123 / 257 >

この作品をシェア

pagetop