竜王様のお約束
「コクリュウ様!!」


弾んだ声が耳に届き、反射的にコクリュウは顔を上げた。


「は!これはイオリ殿。
も・・・もしかして。
コウリュウ様の命令で、私の様子を見に来たとか?」


コクリュウは、半歩後ろへよろめくと、かなり震えた声で動揺し、狼狽した顔でイオリを見つめた。


「コウリュウ様の命令ではございませんが、一刻も早くハクリュウ様のご意向をお聞きしたくて、待ち伏せまがいの事をしてしまいました。
お許し下さいませ。
何せコウリュウ様の今後に関わる、重大な事ですので。
で・・・コクリュウ様。
ハクリュウ様はリョク様をお連れする事に、同意して下さいましたか?
竜王として天界にずっと、お留まり頂けるのでしょうか?」


「う・・・。」


真剣な眼差しで自分を見つめ返すイオリに、後ろめたい気持ちが一杯で、また半歩後ずさるコクリュウ。


「やはり、リョク様をお連れする事は叶いませんか。」


コクリュウの表情を見て、心情を察したイオリは、悲しそうに下を向いた。

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