竜王様のお約束
コクリュウの心の内を読む鋭い洞察力で、天界行きを賭けた一か八かの勝負を仕掛けてくるあたり、さすが二人の愛娘だけの事はある。


本当は天界へ行きたくてウズウズしているのだが、リョクは早る気持ちを抑えて、コクリュウの言葉を待った。


「・・・。実は・・・。」


しばらく考えていたコクリュウだったが、下を向いたままボソリと切り出すと、リョクが瞬時に反応した。


「えっ、ちょっと待って。
止めて、言わないで。
天界へ行く理由が、一つ減っちゃう。」


慌ててリョクは、コクリュウの言葉を制した。


「リョク様~!」


もちろん、エミの厳しい声が飛ぶ。


「お願いよ、エミ。
私を天界へ行かせて。
母様達にも会いたいけど、私、この退屈な毎日から抜け出したいの。
あれもダメ、これもダメって、息がつまりそう。」


一度口から出てしまった言葉は、もう元に戻せるはずもなく、リョクは咄嗟に口に手を当ててはみたものの、時すでに遅しである。


「リョク様、何という事を。」

悲しそうに自分を見つめるエミから目を反らしたリョクは、後ろめたい気持ちで一杯だった。


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