竜王様のお約束
コウリュウは呆れた表情をして、首を振った。
「堂々巡りですよ、兄上。
では、他の誰かを竜王に就けてください。
竜王不在ではいられません。」
「竜王は・・・。
コウリュウ、そなたが相応しい。」
「ですから!
それは無理だと申し上げたはずです!
誰が私のような嘘つき竜王に従うというのですか!」
コウリュウらしからぬ大きな声に、コクリュウとイオリがビクッと反応した。
「コクリュウ!」
そのままの大きな声で不意に自分の名を呼ばれ、コクリュウは目を開けてコウリュウを見上げる。
「連れてきたのか?
リョクを。」
「・・・。」
「連れてきたのか?」
そのコウリュウの言葉に、ハクリュウが反論しようとした矢先。
「私ならここに居るわ。
コウ叔父様。」
なんの前触れもなく、ぎぃっと重々しく王の間の扉を開けて、可愛らしい声を発したのはリョク本人であった。