竜王様のお約束
うん、と、自分に言い聞かせるように一回力強くうなづいて、ヤヨイはハクリュウを見つめる。


「ハクリュウ。何かいい策は浮かんだ?
ハクリュウもコウリュウさんも、当事者二人が竜王ではいられないとなれば、第三者にお願いするしかないんじゃないかな。
誰か心当たりはないの?」


「心当たりねぇ・・・。」


そう言うと、ハクリュウはゆっくりと赤いソファーの方向を振り返り、一人の人物を目に留めた。


コウリュウもハクリュウに倣い、同じ方向・・・自分のすぐ横に目を向けて、じっと視線の先の人物を見る。


ヤヨイもハクリュウの視線を追った。


3人の視線の先にいる、片膝を折り目を閉じていたその人物は、不意に静かになった室内が気になって、静かにその瞼を開いてみたのだが。


「あの・・・。何か・・・。」


皆に見つめられていることに驚いて、思い切りたじろぎ、パチパチと瞬きをした。


「え・・・と・・・、ハクリュウ様?
・・・コウリュウ様?
ヤヨイ様まで・・・、何ですか?」


困惑した表情で、恐る恐る周りを見渡すコクリュウは、心なしか落ち着きを失っている。とてつもなく嫌な予感が脳裏をかすめ、ハクリュウやコウリュウが、良からぬ事を言い出す前に何とかしなければと、急激に焦りが押し寄せてきた。そして視線を床に落とす。
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