竜王様のお約束
「能力だけを見れば我に次いでいるそなたは、まさに次期竜王に相応しい。
それは天界中の誰もが知ることだ。
その真面目さ故に、大臣たちの重圧や進言を跳ね返せるかが心配で、この度はそなたを竜王に推挙しなかったのだが、状況が変わった。」


「お・・・お待ち下さい。
竜王が交代するのですよ?
状況が変わったなどと一言で済ませられるような、そんな簡単なことではないのです。
ハクリュウ様のおっしゃるとおりです。
私にはそのような大役を担う自信などありません。
大臣方のご指示の下で、日々の職務をこなすのが精一杯なのです。
それに・・・。」


そこまで言うとコクリュウは、声を潜めて小さく呟く。


「それに・・・私には、まだ妻を娶る余裕がありません。
その上、生気を分け与えるなんて・・・考えられない・・・。
それがどんなに重大な役目かは、これでも重々承知しているつもりでございます。」


項垂れて力なく答えるコクリュウに、ハクリュウはゆっくりと近寄った。そしてコクリュウの隣にしゃがみ、目線を合わせる。


「大事無い。
我もかつてはそうであった。」


「え・・・!?」


コクリュウにも負けないほどの、至って真面目な顔をして、ハクリュウは穏やかに口元を緩めた。
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