竜王様のお約束
「え～、だって･･･。
コクリュウが妻を娶るとか、何だとかって言うから･･･。
じゃあ私がなるって思っただけだよ。
おかしいかな？」


素直に自分の考えを口にして、リョクは小首を傾げながら父を見つめる。


「お･･･お･･･おかしいだろう！！！」


こめかみの血管が切れてしまうのではないかと、ヤヨイが心配になるほど、ハクリュウは怒り心頭のようだ。


「どういう関係なんだ？
お前とコクリュウの間で何があった？
人間界で一体、何があったと言うんだ？
なぁヤヨイ？
ヤヨイは知ってたのか？
この事知ってたのか？」


「知るわけないじゃない。
それに２人の間には、何にもないと思うわよ。」


シレっと答えるヤヨイに、ハクリュウは憮然としてみせた。


そんなハクリュウに、ヤヨイの頭を掠めたのは
『父親ってこんなもんなのかしらね。私はハクリュウの部屋でリョクを見た時に、ピンときたけどな。
一方的なリョクの一目惚れだなって』
と、いうものであったのだが、口にはしなかった。


今ヤヨイがそんなことを言ってしまったら、ハクリュウは我を忘れて、白龍にでも成りかねない気がしたからだ。

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