竜王様のお約束
リョクのまさかの反撃に、ハクリュウは言葉を失ってしばらく沈黙が流れた。


ハクリュウの腰から手を離し、ポツリと呟くリョク。


「とにかく・・・。
コクリュウを責めるのは止めて。
悲しくなるよ。」


ハクリュウは静かに振り返りリョクの前にしゃがむと、豊かな緑色の髪を撫でた。ハクリュウも少し気持ちに余裕が出来たのか、柔和な顔に戻っている。


「リョク、悪かった。
突然お前がコクリュウの妻になるなんて言い出すから、動転してしまって。」


「だって、コクリュウが竜王になるには必要なんでしょ、妻が。」


「それはそうだが、妻がお前である必要はない。」


「どうして?」


「いや・・・それは・・・。」


それは・・・。ハクリュウは言葉に詰まった。


断る理由があるだろうか。あるとしたら・・・そう・・・。コクリュウの気持ちである。


やれ竜王になれだ、やれ妻がどうだと、当の本人の気持ちが固まらないままに、話は成されてきた。
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