竜王様のお約束
「コクリュウ。」


コウリュウが隣に目を向け、声をかけた。


「お前、俺と同じくらいの生まれだよな?
俺な、妻を娶ろうかと思う。」


「は・・・コウリュウ様、こんな時にそのようなお話・・・。
突然、如何なされましたか?」


コウリュウは、ふっと笑う。


「俺たちももう、そういう時期かと思うんだ。
結婚して伴侶を得ることを、ためらっていてはダメなんだ。
勿論、不安はある。
まぁ、俺の不安とお前の不安では、内容が違うと思うがな。
でも俺は今回、僅かばかり竜王でいた事で、妻を娶り生気を分け与えることを、これでも真剣に考えたよ。
だからお前も真剣に考えろ。」


「いえ、しかし・・・。
そもそも私は、竜王になるつもりは・・・。」


「俺も不本意ながら、竜王を押し付けられた口なんだ。
しかも、早々と不名誉な退陣だ。
それもこれも全部、わがままな誰かさんのお陰なんだが・・・。」


そう言ってコウリュウは、チラリと豪奢な白衣を身に纏う青年を見る。


「この人の元で働いていた以上、観念するしかないんだ。
一度言い出したことを、引っ込めるような人じゃない。
大丈夫。俺がお前を支えてやるよ。」


コウリュウの言いように不満げな顔をしたハクリュウだったが、何も言わずにコクリュウの言葉を待った。
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