竜王様のお約束
追い詰められたコクリュウは、軽く唇を噛むとハクリュウをじっと見つめ、再び床に視線を落とした。


「しばらく考えさせて下さい。
私に与えられた時間は、余りに少ない・・・。」


その場にいた誰もが納得する、コクリュウの言葉だった。


「では一度解散といたそう。
ヤヨイ戻るぞ。
リョクも一緒に参れ。」


「え・・・、私・・・コクリュウと・・・。」


「ダメだ。」


有無を言わせない威厳ある声で、ハクリュウは言い捨てる。


「お待ち下さい。」


決意のこもった声が、ハクリュウを止めた。


「なんだコクリュウ。
まさか、そなたもリョクと一緒に居たいだなどと、ふざけた事を申すのではあるまいな。」


「リョク様の、真意を伺いたく存じます。」


「・・・!!
ならん!!」


やっと収まった激興が、また蒸し返されてしまうのではないかと思うほど、力一杯の拒否をハクリュウは返した。


「ほんの僅かで構いません。
リョク様と、話をさせていただけませんか?」


恐る恐るハクリュウを見上げて、コクリュウは憂いた目で哀願した。

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