竜王様のお約束
そんなコクリュウをあざ笑うかのような表情で、ハクリュウは不愉快さを顕にする。


「リョクの真意を知って、どうしようというのだ。
リョクが本気であれば、体よく妻に迎えようという魂胆か?」


「そのような・・・。」


「では何だ?
どんな了見で、リョクと話をしたいのだ?」


父親の娘を取られまいとする悲しい嫉妬心を、ヤヨイ以外は分からないだろう。皆、固唾を飲んでこのやり取りを見守っている。


「父様お願い。私もコクリュウと話したい。」


「お前は・・・。
ダメだと言ったはずだ。」


「じゃぁ逆に聞くけど、どうしてコクリュウと話したらダメなの?」


「う・・・それは・・・。
ダメなもんはダメだ。」


一瞬言葉に詰まったハクリュウだが、持ち前のわがままさで押し切った。


「リョクを取られたくないのよ、父様は。
ね?ハクリュウ。
ちょっとヤキモチ焼いちゃったのよね。」


クスッと小さく笑って、ヤヨイがリョクの味方についた。


「な・・・な・・・何を・・・!」


凛々しい口元をパクパクさせて、ハクリュウは明らかに挙動不審になっている。


「いいわよリョク、行っておいで。
よーく、コクリュウさんと話し合ってくるのよ。」


「おい!ヤヨイ!」


ハクリュウの声が、虚しくこだました。
< 185 / 257 >

この作品をシェア

pagetop