竜王様のお約束
「如何致した？」



静かにシキに問いかけたハクリュウの声は、シキも、エミも、勿論リョクも、聞いた事のない重低音だ。


そして、いつもの穏和なハク様の姿は消え、シキ達の目の前には、この上なく近寄りがたい雰囲気を放つ、威厳に満ちた美丈夫が君臨していた。


これまでに見た事もないハクリュウの姿は、シキに言葉を飲み込ませる。


中々報告しないシキに痺れを切らし、ハクリュウは静かな重低音を奏でる。


「シキ、申せ。
如何致したのだ？
ヤヨイは、何処ぞ？」


「は･･･はい･･･。
･･･黒龍が･･･。」


「黒龍？
黒龍が如何したのだ！
早く申せ！」


ハクリュウの怒りの咆哮が、そこに居た３人を萎縮させる。


リョクはしゃがんでいたエミにギュッとしがみつき、シキは恐怖さえ感じ、ハクリュウに土下座した。


「申し訳ございません！
黒龍がヤヨイ様を、天界へと連れ去りました！」


シキは、早口で捲し立てた。


「なんと･･･!?」


シキの言葉を聞いたハクリュウは、怒りに肩を震わせて、全身からユラユラと、白い光を解き放った。


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