竜王様のお約束
コウリュウは、頭を下げて詫びている目の前の女性を、腕の中に引き寄せて囁いた。


「じゃぁ、ずっと・・・。
俺の側にいてくれ。」


驚いたイオリは、ガバっとコウリュウから体を離して、目を見開いている。


「コハクでも、他の誰でもない。
イオリが俺の隣にいてくれよ。」


「え・・・?
仰っている意味が、よく理解できません。」


コウリュウは、短くため息を吐く。


「だから。
俺の妻になれと言っているんだ。
俺が妻にしたいのは、イオリ、お前だよ。」


「・・・!?」


「イヤか?」


「そんな・・・そんな・・・。」


イオリは、ふるふると首を振る。そして、足がガクガクして立っていられず、すとんとその場にしゃがみこんでしまった。


「お・・・おい!
大丈夫か?」


コウリュウも慌てて膝を折り、イオリを覗き込む。イオリは蒼白した顔でゆっくりとコウリュウを見上げた。


「イヤだなんて、そんな・・・。
そんなこと、あるはずないです。
でもコハク様を差し置いて、私のようなものが妻になど・・・。」
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