竜王様のお約束
「じゃあどうして、何でもかんでも困った顔するの?
もう、いいからとにかくソファーに座って。」


「それは・・・命令ですか?」


「命令?
違うよ、お願いだよ。」


「・・・。」


「じゃぁ、命令でいいよ。
座ってください。」


どこまでも真面目な黒髪の青年は、不本意な表情のままソファーに腰を沈めた。


・・・ソファーに座る。


たったそれだけのことなのに、お願いや命令が必要だなんておかしい。生まれた時から偉いってどういう事なんだろう。好きとか嫌いが関係ない恋ってあるんだろうか。


そんなこと、人間界にいた時には全く考えたことがなかった。考えなくても良かった。でも解決しなくちゃ先に進めない。だって、コクリュウにソファーに座ってもらうことすら出来ないのだから。


リョクは小さく決意を固めた。
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