竜王様のお約束
ジュウロク
魅惑的に彩られた黒い部屋には、重い空気が漂っていた。
リョクは努めて物腰柔らかに言葉を選んでコクリュウと会話をしようと試みていたのだが、放つ言葉はことごとく反論の返り討ちにあう始末だった。
どんな言葉を使っても、取り合ってもくれないコクリュウに少々苛立ちを感じ始めたリョクは、とうとうキュッと唇を引き結んで押し黙ってしまう。
そしてこの不穏な空気は漂い始めた。
無言で真っ直ぐにコクリュウを見つめる、まん丸の大きな黒い瞳には、凛とした王者の風格が宿っているかのようにさえ見える。
そんなリョクをコクリュウは、感慨深げに見つめ返していた。
張り詰めた重い空気の中、リョクはふっとその表情を崩すと徐に一つ瞬きをして、結んでいた唇を緩めた。
「コクリュウ。
今までの話をまとめるから聞いてて。」
「かしこまりました。」
コクリュウはそう返事をすると、姿勢を正した。
「まず、私が天界の竜王だった父様の娘であるということ。
次に、私の年齢が低いということ。
そして、私と会ってからまだ間もないということ。
最後に、そもそも竜王になるつもりがないということ。
この4つが私と結婚しない理由なんだよね?」
「その通りでございます。」
コクリュウは堅苦しく頷いた。
リョクは努めて物腰柔らかに言葉を選んでコクリュウと会話をしようと試みていたのだが、放つ言葉はことごとく反論の返り討ちにあう始末だった。
どんな言葉を使っても、取り合ってもくれないコクリュウに少々苛立ちを感じ始めたリョクは、とうとうキュッと唇を引き結んで押し黙ってしまう。
そしてこの不穏な空気は漂い始めた。
無言で真っ直ぐにコクリュウを見つめる、まん丸の大きな黒い瞳には、凛とした王者の風格が宿っているかのようにさえ見える。
そんなリョクをコクリュウは、感慨深げに見つめ返していた。
張り詰めた重い空気の中、リョクはふっとその表情を崩すと徐に一つ瞬きをして、結んでいた唇を緩めた。
「コクリュウ。
今までの話をまとめるから聞いてて。」
「かしこまりました。」
コクリュウはそう返事をすると、姿勢を正した。
「まず、私が天界の竜王だった父様の娘であるということ。
次に、私の年齢が低いということ。
そして、私と会ってからまだ間もないということ。
最後に、そもそも竜王になるつもりがないということ。
この4つが私と結婚しない理由なんだよね?」
「その通りでございます。」
コクリュウは堅苦しく頷いた。