竜王様のお約束
ヤヨイがコウリュウの寵姫でなど、ある訳がない。


あって、いい筈がない。


もし、そんな噂が天界に流れているのだとしたら・・・と、想像するだけで、ハクリュウは胸くそ悪くて仕方がない。


例え、話の上だけであろうと、ヤヨイが他の誰かのモノであるような言われ方は、ハクリュウは絶対に許せなかった。


今や、ハクリュウのヤヨイに対する溺愛ぶりは、もしも話しに至るまで、焼きもちを焼く始末である。


落雷の雲を突き抜け、飛翔しながら、ハクリュウの心の中でも、大嵐が吹き荒れていた。


天界では、ハクリュウは亡き者となっている。


コウリュウが、早々に盛大な儀式を執り行ったと、報告してくれた。


本当にハクリュウ王の崩御を悲しんだ者は、どれ程居るのだろうか。


いくら天界のためとは言え、あれだけ暴君として、冷酷に振る舞ってきたハクリュウである。

むしろ、物腰柔らかなコウリュウ王の御代が来たことを、歓迎するムードだったかもしれない。


まぁ、それは、いい。
有ること無いこと、自分を噂される事も、甘んじて受け入れよう。


しかし!!!


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