竜王様のお約束
どこのどいつが流したか、事もあろうにヤヨイがコウリュウの寵姫?


それを真に受けて、ヤヨイを連れ去るコクリュウの不始末!


何が目的で、ヤヨイが巻き込まれねばならぬのか。


天界の在りように、最早なんの興味もないが、コウリュウに一言もの申し、実行犯に制裁を加え、この手に愛しいヤヨイを抱くまで、ハクリュウの嵐は収まりそうにない。


悶々としながら、ハクリュウは天界を目指す。


龍になれたとはいえ、かつての能力は100%戻ってはいない。

体も竜王の頃よりは、心なしか小さく、飛翔速度も幾分か遅く感じる。


ハクリュウはもどかしさを抑え、ひたすら昇った。


暫くの後、雲が切れ、ハクリュウの目の前の視界が開けた。


濃紺と藍色と深い紫色と白い光が、オーロラのように全体を覆う、見覚えのある幻想的な景色が広がった。


砂地のような地面には、植物はなく、ポツリポツリと、建物が点在しているのみ。


そして遥か遠くに見える建物は一際豪奢で、この距離からも巨大な建造物である事を伺わせる物だ。


ハクリュウは一路、その場所を目指す。


そこは、かつてのハクリュウの居城であり、竜王が住まう王宮であった。


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