竜王様のお約束
今回はいったい何事を知らされるのだろうかと、民たちが動揺するのも致し方ないのだが、ただ、今回はなんとなく内容の想像ができていた。
巨大で荘厳な白龍の目撃談が後を絶たない中での集い。よもやハクリュウ王の復活か、と、その噂は持ちきりだったからである。
なのに民たちの予想を裏切り、玉座の色は『白』ではなく『黒』だった。
それがざわめきの原因であろう。
程なくして、玉座正面の豪奢な扉が開かれた。
先ず姿を現したのは、紅い衣装を身に付け、妖艶な雰囲気を纏う現竜王コウリュウであった。妖艶ながらも威厳あるその姿は、ほぅと、民たちに感嘆の声を漏らさせた。
しかし、玉座は黒である。民たちの視線はまだ開いたままの豪奢な扉に向かう。
すると次に入室して来たのは、緊張の面持ちでぎこちない足取りの黒髪の青年であった。
「「「やはりコクリュウ様か・・・」」」
ヒソヒソと囁き合う民たちの声が耳に届き、コクリュウはより一層身を固くした。
コクリュウの能力がハクリュウに次いで高いということは民たちにも知れ渡っていた情報であったため、なるほどコクリュウ様かという意味が込められた囁き声だったのだが、コクリュウにそんなことを想像できる余裕などなく、四面楚歌の気持ちでいっぱいになってしまった。
巨大で荘厳な白龍の目撃談が後を絶たない中での集い。よもやハクリュウ王の復活か、と、その噂は持ちきりだったからである。
なのに民たちの予想を裏切り、玉座の色は『白』ではなく『黒』だった。
それがざわめきの原因であろう。
程なくして、玉座正面の豪奢な扉が開かれた。
先ず姿を現したのは、紅い衣装を身に付け、妖艶な雰囲気を纏う現竜王コウリュウであった。妖艶ながらも威厳あるその姿は、ほぅと、民たちに感嘆の声を漏らさせた。
しかし、玉座は黒である。民たちの視線はまだ開いたままの豪奢な扉に向かう。
すると次に入室して来たのは、緊張の面持ちでぎこちない足取りの黒髪の青年であった。
「「「やはりコクリュウ様か・・・」」」
ヒソヒソと囁き合う民たちの声が耳に届き、コクリュウはより一層身を固くした。
コクリュウの能力がハクリュウに次いで高いということは民たちにも知れ渡っていた情報であったため、なるほどコクリュウ様かという意味が込められた囁き声だったのだが、コクリュウにそんなことを想像できる余裕などなく、四面楚歌の気持ちでいっぱいになってしまった。