竜王様のお約束
ニジュウ
民たちの上空には2頭の龍がいる。
真っ直ぐ縦に伸びた少し小柄なエメラルド色の龍と、その龍に頭から尾の先までクルクルと絡むブラックパールのような巨大な龍だ。これから始まる儀式を前に、黒龍が緑龍を包み込むように絡んだ様は、大切な妃を守っているかのように見える。
実は正にその通りで、コクリュウは初めて生気の交換をするリョクが、意識を飛ばして降下しないように守っていたのだ。2頭は輝きを消すことなく上空に留まり、沈黙の中で準備を始めていた。
『お上手に龍の姿になりましたね、リョク様。
後は私に身を任せていてください。
しかし意識を飛ばさないよう、少しばかり耐えていてくださいね。
これから私たちが与え合う生気を、風に乗せ雨に混ぜ光の帯にして、天界中に飛ばしますので。』
『わ・・・分かった。』
そう答えてはみたものの、リョクは今にも意識を失ってしまいそうだった。得も言われぬ開放感に飲み込まれ、リョクはその心地よさに酔い始めていたのだ。
『ではリョク様、これからもう少しきつく絡みます。
意識を保っていてください。』
黒龍は緑龍に巻きつけた肢体を徐々に強く絞め、自らの能力に意識を集中させた。体の中に流れ込む緑龍の生気がそのまま自分の生気と溶け合って、緑と黒のグラデーションの光になるのを感じる。
黒龍は懇親の想いを込めて吠えた。
真っ直ぐ縦に伸びた少し小柄なエメラルド色の龍と、その龍に頭から尾の先までクルクルと絡むブラックパールのような巨大な龍だ。これから始まる儀式を前に、黒龍が緑龍を包み込むように絡んだ様は、大切な妃を守っているかのように見える。
実は正にその通りで、コクリュウは初めて生気の交換をするリョクが、意識を飛ばして降下しないように守っていたのだ。2頭は輝きを消すことなく上空に留まり、沈黙の中で準備を始めていた。
『お上手に龍の姿になりましたね、リョク様。
後は私に身を任せていてください。
しかし意識を飛ばさないよう、少しばかり耐えていてくださいね。
これから私たちが与え合う生気を、風に乗せ雨に混ぜ光の帯にして、天界中に飛ばしますので。』
『わ・・・分かった。』
そう答えてはみたものの、リョクは今にも意識を失ってしまいそうだった。得も言われぬ開放感に飲み込まれ、リョクはその心地よさに酔い始めていたのだ。
『ではリョク様、これからもう少しきつく絡みます。
意識を保っていてください。』
黒龍は緑龍に巻きつけた肢体を徐々に強く絞め、自らの能力に意識を集中させた。体の中に流れ込む緑龍の生気がそのまま自分の生気と溶け合って、緑と黒のグラデーションの光になるのを感じる。
黒龍は懇親の想いを込めて吠えた。