竜王様のお約束
ヤヨイを黒い布張りのソファーに座らせて、自分は黒檀の椅子に座る、キリュウという男は、とても気位の高い人物であった。


もし“天界１、プライド高いコンテスト”が開催されたならば、女性はシリュウ、男性はキリュウが優勝に輝くであろう。


なんの有り難みもない、ナンバーワンの座であるが、自分に絶対の自信を持っているキリュウは、どうだと言わんばかりに、その称号を受け取るに違いない。


キリュウは、しばらくヤヨイの瞳を感慨深気にネットリと見つめていたのだが、黄色い髪を揺らし軽く頭を振ると、急に立ち上がった。


羽織っていた、艶やかな黄色い打ち掛けを翻し、キリュウはヤヨイの顔に風を扇ぐ。


足首まである打ち掛けの中は、紫色の着流しで、山吹色のベルトを巻いている。


和装に近い衣装を着たキリュウに、ヤヨイが持った見た目の印象は、完全なる遊び人であった。


「アハ･･･アハハ･･･。
やっぱり凄いよ。
琥珀色の瞳って。
危うく、吸い込まれてしまう所だった。」


意味の分からない言葉を発し、ヤヨイを困惑させたキリュウは満足気に再び椅子に腰掛けた。

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