竜王様のお約束
ハクリュウの漆黒の瞳と目が合って、門番は余りの恐怖に腰を抜かし、その場に崩れ落ちた。


「悪いが、通るぞ。
急ぎの用があるのだ。
・・・案ずるな。
コウリュウには我から、優秀な門番が居たと伝えておこう。」


ハクリュウは、ガタガタ震える門番に、静かに言葉を投げ掛けると、軽く右手を上げて振り返る事なく、堂々と王宮の中へと消えていった。


白い豪奢な衣装を翻し歩く、偉大なる先代竜王の後ろ姿を見つめて、門番はハァと息を吐き出し、殺されなくてよかったと、心の底から安堵した。


ハクリュウにとっては、約4年ぶりとなる王宮だった。


懐かしそうに辺りを見渡し、ゆっくりと歩く。


「りゅ・・・竜王陛下!」


「竜王陛下?」


「え?生きて?竜王陛下?」


王宮の広い廊下を、当たり前のように闊歩するハクリュウに、すれ違う者達は立ち止まり、次々に驚きの言葉をこぼす。


「そんなにじろじろと、見るでないわ!」


堪り兼ねたハクリュウが、ついに激を飛ばす。


「ひっ!」


その言葉に、そこに居た誰もが、ハクリュウ王にひれ伏した。
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