竜王様のお約束
その時、コウリュウの部屋の扉が、せわしなく叩かれる。


「誰だ？」


面倒くさそうに、ソファーから起き上がり、扉に向かって声をかけたコウリュウは、ことのほか驚く事になる。


「コウリュウ様、イオリです。
緊急事態が発生したとの事で、ハク･･･」


まだ報告の途中であるにも関わらず、扉は勢いよく開け放たれた。


「コウリュウ！
何という不始末ぞ！」


叫びながら入って来る、銀髪を振り乱した、長身の青年。


その出で立ちは、人間界で面会する時とは全く違う、コウリュウが長年仕えた、見覚えのある竜王陛下であった。


そんなハクリュウに少しだけ、嬉しささえ感じてしまった、コウリュウ。


「陛下･･･。」


ふらっと立ち上がり、つい、そう呼んでいた。


「コウリュウ！」


もう一度、名を叫ばれ、コウリュウは我に返る。


「兄上。如何したのですか？」


いつになく苛々した様子のハクリュウは、コウリュウの側まで来ると、グイっと胸ぐらを掴んで睨み付けた。


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