竜王様のお約束
ハクリュウは、コクリュウの事が、好きである。


勿論、恋愛感情では決してない。


コクリュウは、コウリュウと共に優秀な竜王の側近であり、持っている能力もハクリュウに次いでいた。


そして何より、数少ない信頼できる龍の一族の1人であったのだ。


ただ、この男。


如何せん真面目で・・・真面目な・・・真面目の・・・真面目がすぎて、とにかく真面目なのだ。


孤独な独裁者であった、冷酷な竜王ハクリュウにまでそう思われるとは、不本意なのかも知れないが、逆に言えば、そんな竜王にさえ、そう思わしめるコクリュウは、如何なものだろうか。


そういう柔軟さや、発想力の豊かさの面において、ハクリュウは自らの能力を与え、次期竜王にはコウリュウを据えた。


コウリュウに託さなかったとしても、人間界行きを決意した時点でハクリュウは、能力を捨てる気でいたのではあるが。


願ってもいない、捨て方ではあった。
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