竜王様のお約束
コウリュウは、戸惑いながらも口を開く。


「兄上。
やはり私には、コクリュウが誰かに最もな理由を押し付けられ、断れない状況下に置かれているとしか、考えられません。」


「うむ。我も、同意見だ。
あの真面目一本のコクリュウが、人間界に姿を現し、こともあろうに我のヤヨイを連れ去るなど・・・。」


ハクリュウは、徐に足を組み換え、危険な光を帯びた黒い瞳を細める。


「いや!
理由はどうあれ、到底許せぬわ!」


地を這うように響く重低音が、ハクリュウの苛立ちを後押しし、痺れを切らして立ち上がる。


「イオリはまだか?
遅い!待っていられぬ!
コウリュウ。我も出るぞ。」


イオリがコウリュウの部屋を後にして、それ程は立っていないのだが、待っている時間ほど、長く感じるものはない。


ハクリュウは感情的にそう言い捨てて、つかつかと入口に向かって足を進めた。


「お・・・お待ち下さい、兄上!
しばらく、もうしばらく、お待ち下さい。」
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