竜王様のお約束
「コクリュウ。
気持ちは察するが、後にせよ。
今は一刻も早くヤヨイを、この腕の中に抱きたいのだ。
我もそなたに聞きたい事は、多々ある。
が・・・それはヤヨイを、我が手にした後でよい。」


一秒でも早くコクリュウの屋敷に向かいたいハクリュウは、こんな所で真面目な部下の相手をしている場合ではなかった。


うずうずしている兄を横目に、コウリュウが僅かな笑みを浮かべて、助け船を出す。


「コクリュウ。
不本意だろうが、兄上の言葉に従ってやってくれ。
兄上はもう、限界なんだ。」


「コウリュウ。
何だ、その言いようは。」


ムッとしてハクリュウがコウリュウを睨む。


人間でのいつもの様な、不毛な会話が繰り広げられるかと思われたのだが、イオリがそれを上手く遮った。


「ハクリュウ様、恐れながら私が行って参ります。
お姿はあまり出されぬ方が、よろしいかと。」


イオリは適切な言葉を言い終えると、そそくさと部屋を後にした。


取り残された3人は、お互いの顔を見渡してから、バツ悪そうにソファーに歩み寄り、静かに腰を下ろしたのであった。




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