竜王様のお約束
言いにくそうに少し表情を歪めてから、キリュウは拳をぎゅっと握った。


「なのにコハクは、困るって言ったんだ。
意味分からないよな?
せっかくこの僕の側に居てもいいって、許可してやったのにさ、困るってどういうことだよ?
気持ちは嬉しいけど・・・ってさ。
嬉しいなら、素直に僕の恋人になればいいじゃないか。
なんか、腹立つだろ?」


「・・・・・・・・・・。
それで?」


「コハクさ、あろうことかコウリュウを愛してるって、言ったんだ。
幼い頃から、自分を庇ってずっと一緒に居てくれた、優しいコウリュウが好きだって。
僕の方が、あいつより優れているのに、おかしいよな?
コハクだけが持つあの瞳には、きっと何か意味があるはずなんだ。
そんな特別な瞳を持つコハクを、よりによってコウリュウに奪われる。
この屈辱が、ヤヨイに分かる?
だから僕はコハクに罰を与えたんだ。」


キリュウの黒い瞳に嫉妬の暗い光が宿り、ヤヨイにはそれが、暗黒の黒い色に見えた。


『キリュウを刺激してはいけない・・・。』


ヤヨイはそう直感して、慎重に言葉を選ぶ。
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