竜王様のお約束
キリュウは悪びれる素振りも見せず、粘着質なねっとりとした視線で、ヤヨイの睨みに応じ、薄く笑った。


「せっかく僕がセイリュウ王を丸めこんで、コハクを第二の妃にって、王妃まで殺させたのにさ。
あぁ・・・シリュウにも手伝ってもらったんだけどね。
なのに、ハクリュウ王ってば悪あがきして、コハクと婚約しちゃうんだもん。
でも、愛のない婚約ってのは、僕にはバレバレだったよ。
よっぽどコウリュウにコハクを返してあげたかったんだろうね。
ちょっと、兄弟愛を見くびったな。」


「何て事・・・。」


「でもさ、どんな経緯があったのかは知らないけど、コハクを殺す事ないのにね・・・ハクリュウ王。」


ヤヨイは、心に芽生えた猛烈な怒りと嫌悪を、必死に抑えていたのだが、この沸々と煮えたぎってくる感情を、つい声に出してしまった。


「そんな事のために・・・?」


キリュウの目が、妖しく光る。


「そんな事?」


「そう・・・あなたのその、くだらない嫉妬心の事よ。」
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