竜王様のお約束
イオリは構えを解くことなく、キリュウに言い捨てる。


「今すぐにヤヨイ様をお放しになる事を、お勧め致します。
それが、あなた様のためです。」


「僕に勝てるとでも、思ってるの?
思い上がりも甚だしいね。」


「私などではございませんよ。
キリュウ様のお相手は・・・。」


イオリには、王宮に残して来たあのお方の、その後の行動が、予測出来ていた。


ヤヨイがここに居ると分かっているのに、じっとしていられるような、のんびりしたお方ではないのだ。


絶対に、乗り込んでいらっしゃる。


イオリは確信していた。


「私はご忠告、申し上げましたからね。
一刻も早く、ヤヨイ様をお放しになられるが宜しいかと、存じます。」


「何なんだ。偉そうに。」


そうは言ってはみたものの、余りのイオリの余裕に若干怯んだキリュウは、不意にカタカタと音を立て始めた、窓の震えが気になった。
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