竜王様のお約束
イオリは、ヤヨイにその人形のような整った顔で、にっこりと頬笑んだ。


「さぁヤヨイ様、帰りましょう。
お迎えの方が、お見えになりましたよ。」


小さかった窓の揺れが、徐々に大きくなり、今や割れそうな勢いである。


「な・・・なに?」


キリュウと同じく、ヤヨイもこの事態を不安に感じていたのだが、その視線の先の、窓の外を横切った『モノ』を見て、ヤヨイの顔に笑みが浮かんだ。


ヤヨイの目に飛び込んできた『モノ』とは、プラチナパールに輝く巨大な鱗。


「ハクリュウ!?
ハクリュウが来てくれたの!?」


「勿論でございます。
ハクリュウ様が愛しいヤヨイ様のピンチに、駆けつけない訳がございません。」


「何だって?
ハクリュウ王?
だって、ハクリュウ王はお亡くなりに・・・。」


一瞬緩んだキリュウの腕を、ヤヨイは振り払って、イオリの元へと駆けだした。


咄嗟にその手首を、キリュウは掴む。
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