竜王様のお約束
自分に向けられたコウリュウの殺気に、キリュウは少々たじろいだ。


手も触れずに、ハクリュウに捻り上げられた腕を擦りながら、キリュウはコウリュウを見上げる。


「な・・・なんだよ・・・。
許せないとは、失礼な言い草じゃないか。
それはむしろ、僕の台詞だと思うんだけど。」


キリュウは、精一杯の虚勢をはってみた。


コウリュウの、殺意をはらんだ視線は勿論痛い。


しかしそれ以上に、コウリュウの隣に黙って控えているハクリュウの視線の方が、キリュウは恐ろしくてならなかった。


「・・・・・・?
お前が俺の、何を許さないと言うんだ?
俺がお前に何かしたか?」


コウリュウは、キリュウからの予期せぬ言葉に驚いて、目をパチクリとさせた。


そして、ボソッと呟いたキリュウの言葉に、コウリュウは更に驚く事になる。


「ぼ・・・僕から・・・。
僕からコハクを・・・奪ったじゃないか・・・。」


「・・・は?」


キリュウが言い放った、あまりに衝撃的な言葉は、コウリュウの頭を混乱させるのに、充分なものだった。
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