竜王様のお約束
ドサッという響きを確認すると、ハクリュウはもう一度指を鳴らした。


今まで繰り広げられていた言い合いが、ウソのように静まり、静寂が部屋を包む。


「ふん・・・小賢しい。
イオリ、連行しやすいように、静かにさせてやったぞ。」


「あ・・・はい。
ありがとうございます、ハクリュウ様。」


余りのあっけない出来事に、イオリはきょとんとして、お礼を言った。


「何・・・キリュウさんに何をしたの、ハクリュウ?」


後ろを振り返り、倒れているキリュウを見ると、ヤヨイは心配そうにハクリュウを見上げる。


「ちょっとキリュウの周りを、真空にしただけだよ。
大丈夫、もう元に戻したから。
それより、あいつに酷い事されなかったか?
ヤヨイに触るなんて!
キリュウの奴、殺してやりたい。」


「もう・・・ハクリュウ・・・。」


「俺、心配で心配で、人間界から追いかけて来たんだぞ。
出かける時は声をかけるようにって、言っただろう。」


「え~・・・だって・・・。
シキも一緒だったから・・・。」


今までの緊張感はどこへやら、仲睦まじく語り合い、2人は部屋を出て行ってしまうのだった。
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