竜王様のお約束
---。


王宮の審議の間では、コクリュウが静かに待機している姿があった。


30畳程の広さの部屋は、椅子が数脚置かれており、何の飾り気も無い、ただ無駄に広いだけの空間である。


綺麗に磨かれた床は驚く程に無機質で、ひんやりと冷たい空気が、部屋の中を支配していた。


床の上にひざまづき、微動だにしないコクリュウは、その漆黒の瞳を閉じて、ひたすらに何かを考えているようであった。


自分が今、ここに居るに至った経緯を、冷静にたどっていたのだ。


ハクリュウ王の訃報を耳にして数週間、失意に暮れていたコクリュウは、キリュウに呼び出された。


辺境の古びた小屋の中には、キリュウと自分ともう一人、シリュウが居た。


キリュウとシリュウは、お互いの性格上どこか通じるモノがあるらしく、恋愛感情を超えた部分で、何か特別な繋がりがあるように思われた。
< 75 / 257 >

この作品をシェア

pagetop