竜王様のお約束
セイリュウ王の能力は、あの頃かなり衰退していて、遅かれ早かれハクリュウへと、竜王は交代していたはずである。


で、なければ、シリュウ如きの能力に、竜王たる者が堕ちるはずがない。


自らの能力の衰えに気付き始めたセイリュウ王には、願ってもない貢物に思えた事であろう。


しかし、相手がコハクと聞いた時点で、断らなかったのが運のツキだった。


結果ハクリュウに、その身を消される羽目になったのだから。


ハクリュウの御世に代わり圧倒的な独裁へと変わったのだが、民達にとってそれは歓迎に値するものであった。


何故ならハクリュウは、天界の民を思い、天界の民だけのために独裁者となっていたからだ。


ハクリュウが下す審判は、時に王宮の役人達を困らせるものであり、考えを変えてもらうために臣下の者が、竜王に意見する時には、命を捨てる決死の覚悟で臨まねばならぬほどだった。
< 77 / 257 >

この作品をシェア

pagetop