竜王様のお約束
そのため、もっぱらその白羽の矢が立つのは、決まった人物であった。


コウリュウかコクリュウである。


この二人の私心のない言葉には、ハクリュウも信頼を置いていたようで、進言に聞く耳を持ってくれていたのだ。


コウリュウは周知の通りの、王弟である。
ハクリュウとのつなぎ役には、うってつけの存在であった。


それにコウリュウ自身をみても、頭の回転が速く優秀で、他の龍の一族からも一目置かれていた。


コクリュウはその真面目さと、天界ナンバー2を誇る能力を持ちながら、奢る事のない穏やかな性格が、皆から慕われる要因であった。


コクリュウにその実力があるにも関わらず、何よりハクリュウへの揺るぎない忠誠心が、キリュウの様に下剋上などという大それた考えを、起こさせずにすんでいた。


今回も、ヤヨイを手に入れ、あわよくば天界をも掌握しようと企んだキリュウの、その無謀な計画には全く気付かずに、純粋で真面目なコクリュウは、まんまと言いくるめられ、操られてしまった訳である。
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