竜王様のお約束
「えぇぇぇ~!!!
なぜ!!!???」


コクリュウが、腰を抜かさんばかりに驚くのも、無理はない。


これまでの経緯を知らないコクリュウにしてみたら、寝耳に水の話であろう。


当然のリアクションである。


「陛下、一体何のために?
天界の偉大なる、ハクリュウ王陛下ともあろうお方が、人間界に下るとは!
まさか、それでコウリュウ様が竜王に?
コウリュウ様はきっと、ご存知なのですよね?
で・・・コウリュウ様は、お引き留めなさらなかったのですか?
何と言う事だ!!!」


頭を抱え込み、崩れ落ちるコクリュウ。


「ええい、黙れ。うるさいわ。」


白い椅子に座り、長い脚を組みかえて、ハクリュウはシレっと窓の外を向いてしまった。


そして、コクリュウに視線を戻すことなく、静かに呟く。


「コクリュウ・・・そなた・・・。
誰かを、心の底から、愛した事はあるか?
その者と一緒に居るためであれば、己の立場さえ邪魔だと思える程に。」


低く甘いハクリュウのその声は、穏やかにコクリュウの胸に響いた。
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