H.+ (エイチプラス)
裕也が無邪気に笑うから、私も引き攣りながら笑顔を見せた。

裕也は、なんで笑えるんだろうか?

私の中には、笑える余裕がないのに・・・。

裕也はベットの上にゴロリと寝転がると、本棚に手を伸ばして漫画やら雑誌やらをパラパラめくる。


「おい、散らかすなよ?」

「後で泉が片付けりゃいいじゃん」

「ヤダよ、面倒臭い・・・」


ケラケラ笑う裕也の頭に、クッションをバフッと投げ付ける。

本当は此処に、七海もいるはずなのに・・・。

目に映るのは、裕也の姿だけ。


「・・・んな顔すんな・・・」

「うるせーって・・・」


投げ付けたクッションを裕也の顔に押し当て、裕也から顔を見られないようにした。

嫌でも、考えてしまう・・・。

七海の、姿を―・・・。
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