H.+ (エイチプラス)
ガタガタ震え出す私の手を、裕也は包むように握りしめた。

やっぱり裕也の手は温かくて大きくて・・・男の手だった。


「・・・泉・・・。このままじゃ、お前まで死んじまうよ・・・。二人共居なくなったら、俺は一人になるじゃねーか・・・」


瞬きを忘れてしまうほど、私は裕也の瞳に引き寄せられた。

ズキズキ痛む頭と、ガタガタ震える手。

私は、何を消そうとした・・・?

何をしまい込んだ?


「なあ、裕也・・・。七海は生きてる・・・んだよな?」


確信は、疑問へと変わる。

私の世界は、いつでも七海がいた・・・。

一秒足りとも、消えた事などない。


「七海は死んだ」


私の世界には七海はいるのに、皆の世界の七海はいない・・・。


「違う、・・・違う違うッ!」


ドンッと裕也の体を突き飛ばし、近くに散らばる雑誌をおもいっきり裕也に投げ付けた。

その刹那。

ツゥーっと熱い雫が、私の頬を伝った。
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