H.+ (エイチプラス)
過呼吸みたいに呼吸が乱れ始め、涙が止まらなくなる。

崩れ落ちるように、私の体は部屋の床の上に倒れた。

裕也が私の名を呼ぶ声と、私の乱れる呼吸の音が聞こえる・・・。

ズキンと頭に痛みが走り、声を出す事すら出来ない。


「・・・おいっ・・・!泉!?・・・ちょっと待ってろよ、今おばさん呼んで来るから!」


目に涙が溜まり、視界がぼやける。

はっきり見えないが、裕也がベットからドスンと飛び降りる音とドアを勢いよく開く音が聞こえた。

・・・なんで。

なんで、私だけが・・・。

七海の傍に行けたら、どんなに幸せだろう・・・。

逢いたくて逢いたくて仕方ない七海の傍に、どうやったら行けるのだろうか?

そのままゆっくり目を閉じると、暗闇の中に笑顔の七海が見えた・・・。

白い肌も、綺麗な黒い髪も・・・。

あの時の、七海のままだ。
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