H.+ (エイチプラス)
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暗闇の中から逃げるように、私は目を覚ました。

ハアハアと息が乱れ、体中はびっしょりと汗で濡れている。

・・・リアルな夢・・・。

あの日のしまい込んだ私の記憶。

忘れようって思わなくても、勝手に脳がその記憶を私から消し去った。


「・・・泉・・・」


低い声で私を呼ぶのは、眉を寄せて今にも泣きそうな裕也。


「なんだ・・・お前まだいたのかよ・・・」

「・・・はあ?起きて最初の言葉はそれ?」


心配して損したー、なんて裕也は大きなため息をつく。


「お前が倒れたのは、俺が無理にお前の記憶を掘り返そうとしたからだろ・・・?だから、帰る訳には行かないだろ・・・」


・・・掘り返された記憶は、一番嫌な物だった・・・。

暗い表情でベットに横になる私の手を、裕也は申し訳なさそうに、優しく包むように握る。

やっぱり、温かい・・・。

生きてるんだって、実感する。
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