H.+ (エイチプラス)
七海の為に涙を流したのは、もう何度目なんだろう・・・?


「・・・七海、きっと痛かったよな・・・。車がぶつかっただけでさ、あんなに血が出るんだもん・・・痛くないわけないよな・・・」

「泉・・・」


助けられなかった辛さと、七海の姿を思い出すと、涙がまた出てきた。

裕也がいる方と反対の方に顔を向け、浅く布団を被り見えないように顔を隠した。

――七海は、死んだ・・・。

私の目の前で車に引かれて・・・。


「・・・大丈夫か?気分悪くなったら言えよ・・・?」


冷たい雨に打たれ、濡れた地面に倒れたまま・・・、七海は何を思ったんだろう。


「・・・私・・・七海の事、助けられなかった・・・。自分の事で精一杯で・・・助けられなかった」


逢いたい・・・。

七海に、逢いたいよ・・・。

逢って、七海に謝りたい。
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