H.+ (エイチプラス)
「お前さ、・・・捜すのはいいけど知らない奴に喧嘩売るのはヤメロよ・・・」


七海が消えたのは一ヶ月前。

毎日捜しても見付からなくて、私はその苛立ちを擦れ違う人に、八つ当たりのようにぶつけた。

・・・今日も、裕也が来てなかったら唇を切っただけでは済まされなかったと思う。

それでも。

私は七海が消えた悲しみと苛立ちをぶつける場所を、他に捜せないでいる。


「お前そのうち死ぬぞ?」

「死ねるなら、死にたいよ・・・」


涙なのか、雨なのか。

私の頬に雫が流れる。

ただ・・・、七海に逢いたいだけなんだ。


「死ぬなんて、簡単に言うんじゃねえよ」


七海に逢うには、何処に行けばいいのか。

本当は解ってる・・・。

でも、私はそこにたどり着く術を知らない。

ねえ、七海・・・。

逢いたいよ。

七海に逢いたい・・・。

今、私の手を引いているのが七海だったらいいのにって・・・私は毎日思う。


「明日は、学校来いよ?」

「行くわけないだろ・・・」


七海がいない場所に、私は行く意味がないんだ。
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