Thank you my friend.
4月
秀一朗「おー、徳和田。はよ!同じクラスだぜ。よろしくな!」
秋博「まじか。おぉ、よろしく」
秀一朗「うっわ!やっぱ知らねー奴ばっかだなぁ!やべぇな、こりゃ」
秋博「あぁ、そーだな」
秀一朗「徳和田は相変わらずクールだなぁ。つーか、あれだよな?同じクラスになるの初だよな?わー、まじどーしよー」
秋博「…」
松浦秀一朗。俺の嫌いなタイプ。
めっちゃ騒ぐし、うるさいし、
女子とやたら話すし、デブのくせして運動できるし、
超ポジティブだし、いつも笑ってるし。
…とりあえず、
毎日が楽しそうなコイツを見ていると
無性に腹が立つ。
先生「えーっと、んじゃ、明日から中学生として頑張りましょう。解散」
担任は男だった。
秋博「適当だな…」
中学って、なんかこう、もっと……
厳しくて、キリキリしてんのかと思ってた。
秀一朗「徳和田~」
秋博「あ?」
秀一朗「お前って部活とかどーすんの?」
部活か。
考えてなかったな。
秋博「別に、決めてねーな。秀一朗は?」
秀一朗「俺?俺はー、ソフトかバスケかな!」
秋博「へー」
秀一朗「徳和田も一緒に入るか?」
秋博「あー、考えとく。」
秀一朗「んだよ、つれねぇな~」
秋博「俺、部活とか入る気ねーしさ」
秀一朗「えー、まじかよ?」
秋博「あぁ」
入る気ねぇ、つーか…
秋博「じゃーな」
秀一朗「お、おぉ、また明日な!」
秋博「…入らねぇ、じゃなくて入れねぇ、んだよ…」
俺んちは、他の奴らの家とはちょっと違う。
秋博「ただいま」
母「おかえり、秋博」
博和「兄ちゃん、おかえり」
俺んちは
父さん、母さん、弟の博和、妹の真博、俺、の5人家族。
母「秋博、悪いんだけど…ゴホッ…ゴホッ…」
秋博「…何?母さん」
母「悪いんだけど、真博のお守りお願い出来る?母さん、ちょっと病院行ってくるわ」
秋博「…いってらっしゃい」
母「ごめんね…ゴホッ…じゃあ行ってくるわ」
母さんは病気だ。
それもちょっと厄介な病気。
…─お前って部活とかどーすんの?─…
秋博「…部活なんかやってられるかよ」
弟はまだ小5だし、
妹は1歳半だ。
父さんは単身赴任。
俺が部活なんか入ってる場合じゃないんだ。
母「ただいま」
博和「おかえりー」
秋博「おかえり母さん」
母「ごめんね、秋博、博和。すぐご飯にするね」
博和「はーい」
秋博「…別にゆっくりでいいけど」
母「…ありがとね、秋博」
秋博「…ん」
博和「兄ちゃん、ケータイ光ってるよ」
秋博「あ?」
《 未読メール2件 》
誰だ?
《 松浦だけど徳和田?明日、学校一緒に行こうぜ!後何人かバスケ部に入る奴らも一緒だ 》
秋博「ありえねぇ…。だからコイツ、嫌いなんだよ……」
一緒に?バスケ部?
ふざけんなよ…。
《 未読メール1件 》
秋博「なんか見る気失せたんだけどな…」
《 徳和田って何組になった? 》
秋博「あ…」
びっくりした…。
まさかコイツからメールがくるなんて…。
《 送信者/志野結香 》
志野結香。小学校が一緒。
たまにメールがくる。
小6は同じクラスだったけど…