陽炎がゆれる
人の塊が少しずつほぐれ、それぞれのペースで時間が進んでいった。


「梓大丈夫?顔色わるいよ」



中間地点あたりで調子が悪くなり集団から引き離され始めた。


「この際だから倒れちゃってマラソン大会なくしちゃう?」


悪い冗談にニヤける友に反応する気力もない。


「ごめん、ゆっくり行くから先いっていいよ」


そう告げると意外にあっさりと行ってしまった。


・・・・・薄情な人達だ・・・・・




周りにいた集団に少しずつ引き離されていった。


・・・・・マジやばい完走できないかも・・・・・


そんな不安で余計にめまいがしてきてふらついて来た。




その時だった。



さっと手を引かれ先を行く背中が現れて。



______薫だった_____
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