陽炎がゆれる
幼馴染の薫。
小さい頃はいつも一緒にいてよく泣かされた。泣かせるくせに、私を友達が泣かせると仕返しに行く薫。
高校も一緒になったけど、最近はあまり話すこともなくなっていた。
いつも一緒だったから私は密かに好きだった。
でも薫は全くそんな素振りもなく想いを伝えることはなかった。
幼馴染のラインを越えられない、超えさせてはくれなかった。
「痛い・・・・痛いよ薫」強引に進む薫の手を振り払おうとした。
一瞬振り返り、掴んでいた手首を離し、手をつなぎ直した。
「ねぇ、ちょっとやめてよ。見られたら直哉が怒るよ・・・・」
まだ何人かそばを走る人を気にしながら背中に伝えた。
そんなことはお構いなく、薫は私の手を引き歩く人を追い越していった。
離れていく私を取り返したくなったの?
昔から君はそうだったね。
確かにそこにあるものがおぼろげで幻のように歪んで揺れる。
まるで君への想いのように、ゆらゆらと陽炎が背中の先に揺れていた。
小さい頃はいつも一緒にいてよく泣かされた。泣かせるくせに、私を友達が泣かせると仕返しに行く薫。
高校も一緒になったけど、最近はあまり話すこともなくなっていた。
いつも一緒だったから私は密かに好きだった。
でも薫は全くそんな素振りもなく想いを伝えることはなかった。
幼馴染のラインを越えられない、超えさせてはくれなかった。
「痛い・・・・痛いよ薫」強引に進む薫の手を振り払おうとした。
一瞬振り返り、掴んでいた手首を離し、手をつなぎ直した。
「ねぇ、ちょっとやめてよ。見られたら直哉が怒るよ・・・・」
まだ何人かそばを走る人を気にしながら背中に伝えた。
そんなことはお構いなく、薫は私の手を引き歩く人を追い越していった。
離れていく私を取り返したくなったの?
昔から君はそうだったね。
確かにそこにあるものがおぼろげで幻のように歪んで揺れる。
まるで君への想いのように、ゆらゆらと陽炎が背中の先に揺れていた。